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海外13カ国・地域の大学生29名が阪神淡路大震災記念人と防災未来センターを訪問、神戸新聞社論説委員磯辺康子氏の講義を受講しました!

 

国際交流基金関西国際センターは、自治体や企業、教育施設など、外部機関と幅広く連携し、効率的で効果の高い事業の実施に努めています。

国内大学連携大学生訪日研修は、海外と日本の大学間の連携強化により国際的な大学間交流を促進するとともに、研修参加者が日本ならびに日本の大学の知識・理解を深め、日本留学への関心を高めることを目的に実施しています。
今回は13カ国・地域29名の研修生が日本理解・防災学習のため、神戸にある阪神淡路大震災記念 人と防災未来センターを訪問しました。

阪神淡路大震災記念 人と防災未来センターは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の経験と教訓を継承するとともに、減災社会の実現をめざし、研修、研究、災害時の現地支援など実践的な防災対策の推進拠点として2002年に設立されたものです。同センターでは、実際に被災した体験や震災の実情を語り伝える「語り部ボランティア」の皆さんはじめ、たくさんのボランティアの方々が事業運営を助けています。

まず「1.17シアター」では、阪神淡路大震災のマグニチュード8.0の直下型地震がどれほどの威力で街を一瞬で破壊したかを忠実に再現したビデオを視聴しました。その後「大地震ホール」にて被災し、復興に向かう街と人のドラマを鑑賞。研修生の中には、語り手に共感し涙ぐむ人もいました。

その後は、館内の「震災の記録を残すコーナー」や「震災からの復興をたどるコーナー」で写真や解説をじっくり見学しました。

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2階の「防災・減災体験のフロア」では、各国の様々な災害(ハリケーンや火災など)が映像で紹介されており、災害は世界のどこでもいつでも起こりうることを再認識しました。

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またボランティアの方に世界の震源地を地図上で示していただき、改めて日本が地震多発国であることが分かりました。参加者の中には、ニュージーランド、台湾、イタリアといった地震経験国出身の者もおり、世界地図の前でそれぞれの知識や経験を話し合う姿が見られました。また模型を用いた「液状化」再現コーナーでは、地盤沈下の仕組みを学習しました。

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見学後には「こころのシアター」にて、3D短編ドキュメンタリー「東日本大震災 津波の傷跡」を鑑賞。作品では、津波に襲われた町々の当時の様子と1年後の様子が比べられました。

通常展示で震災について知識を得た後は、セミナー室の1室をお借りし、神戸新聞社のご協力を得て論説委員の磯辺康子様から「災害時の報道について」の講義をしていただきました。

神戸新聞社は、兵庫県内で部数・記者数第1位を誇る全国屈指の地方紙です。1995年の阪神・淡路大震災では、本社ビルが全壊判定となる中、同じ被災者であるという目線から記事を書き、新聞を発行し続けました。また、東日本大震災発生以降、長期にわたり仙台に臨時支局を設け、継続した取材活動を行う等、震災・防災報道に力を入れています。

始めに当センター副所長 村田曉彦より謝辞を述べさせていただき、また研修生代表として中国のシシさん(上海外国語大学)がご挨拶させていただきました。

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17年前の1995年1月17日の神戸新聞一面を資料としていただき、当時の壮絶な状況を想像しました。また日本における地震の歴史として、阪神淡路大震災以前は、戦中・戦後に震災が続いた後、高度経済成長期にはほとんど地震が起こらなかったという事実を教えていただきました。阪神淡路大震災が戦後初めての都市型大地震であったのです。地震が襲ったのは人口の多い大都市であったという点に加え、「高齢化した」都市に起こったことから、老朽建築物の崩壊、高齢世帯の被害の大きさ、更に孤独死、自殺といった「震災関連死」が問題となったことを取り上げられました。地震の経験がない研修生も多く、皆これまで、地震は、発生時に人や町に被害を与えるものと考えていましたが、被害は災害直後よりむしろ数ヶ月、数年、数十年後へと長く続くものであるという磯辺様のお話に、研修生は真剣に耳を傾けました。

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また、震災時の全国紙と地方紙の役割についても触れられ、全国紙が外へ向けて支援を呼びかけることが役割であれば、地方紙は、被害の状況・規模を伝えるだけでなく、すぐに役立つ生活の情報や、より具体的な被害状況の掲載が求められるといいます。このことは阪神淡路大震災を通じて、神戸新聞が全国紙にはできない地方紙の役割、「被災者の視点で」の報道を追及して得た教訓であるとも仰いました。

最後に、災害報道で最も重要なことを教えていただきました。それは「継続性」です。大災害は発生時の衝撃はどんなに大きくても、時間が経つにつれ、被災していない人々、遠く離れ生活する人々からは、忘れられてしまいます。しかし、被災者の中には、心の傷や、経済苦など、長く問題を抱える人も多いです。また苦しい中で逞しく復旧・復興を目指し頑張っている人々がいます。そういった人々の状況を伝え続けることが災害報道で最も重要であり、17年前、ともに震災を経験し、現場で人々の生活を取材し続けてきた神戸新聞社だからこそできる「地方紙の役割」であると訴えられました。

磯辺様ご自身も、海外のさまざまな被災地を訪れ取材され、復興の過程、システムなど、日本で活かすことのできる情報を持ち帰り発信されるなど、ご活躍されています。

講義の後は、研修生の出身国での災害も取り上げ、活発な質疑応答が行われました。磯辺様は、今後もお互いの国から学び合い、研修生自身の知識を深めてほしいとの期待を述べられ、研修生からは今日学んだことを自国に帰って伝えていきたいという前向きな決意を聞くことができました。

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人と防災未来センターの皆様、神戸新聞社磯辺康子様、本当にありがとうございました。 

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リンク:

阪神淡路大震災記念人と防災未来センター

神戸新聞社

 

今回の研修生は2月7日に日本赤十字社大阪府支部を訪れ、医療現場における災害時の対応を学びました。

http://www.jfkc.jp/ja/news/2013/02/29.html

 

今回は「報道現場」における災害を学ぶことができ、研修を通してより深く日本の災害に対する考えや取り組みなどを理解できたと考えています。

 

東日本大震災に対する国際交流基金の取組

http://www.jpf.go.jp/j/messages/03-04.html

2010年度年報(東日本大震災に対する取組).pdf


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