ニュース

文化・学術専門家日本語研修2ヶ月コース参加者が文楽劇場を訪問!研修生(演劇研究)のエッセイもぜひご覧下さい!

 

 関西国際センターでは、自治体や企業、教育施設など、外部機関と幅広く連携し、効率的で効果の高い事業の実施に努めています。

 

 7月31日(木)、専門日本語研修(文化・学術専門家)2ヶ月コース参加者の20名が大阪府の国立文楽劇場を訪問しました。
 昨年度では、和歌山大学の「JAPAN STUDY」講義でお世話になりました人形遣いの吉田和生様(公益財団法人文楽協会技芸員)のご招待で研修生有志が国立文楽劇場を訪問いたしましたが(昨年度の様子はこちら:http://www.jfkc.jp/ja/news/2013/08/2-3.html)、今年度も同劇場及び吉田和生様のご厚意で研修生全員が同劇場を訪問することができました。

 

 今回、研修生が鑑賞した演目は、サマーレイトショー「女殺油地獄」で、吉田和生様が主役の一人を務められるものでもあります。
 最初に国立文楽劇場の遠藤真美様より、同劇場の歴史、仕組みについてご説明いただきました。研修生は、文楽を継承するために文楽劇場の技芸員養正研修に入門する人の中には中学校を卒業したばかりの若い人がいることや、文楽は全て男性が行う芸術であることなど、普段知ることのできない文楽の特徴について学び、驚く様子でした。

 bun1.JPG bun2.JPG

 

 遠藤様のご説明の後、吉田和生様に直々に舞台の裏をご案内いただきました。また、同時に実際の公演に使われる人形を遣いながら文楽人形の仕組みについても教えていただきました。研修生は初めて文楽人形を手に取り、その重さと扱い方の難しさを実感しました。さらに、このときに手に取ってみた人形は、この後、研修生が鑑賞した「女殺油地獄」にもそのまま登場しており、研修生にとっては非常に印象深い経験となりました。

bun3.JPG bun4.JPG
bun5.JPG bun6.JPG

 

 専門日本語研修(文化・学術専門家)は、日本の文学、歴史、経済、芸術など、様々なテーマから日本を研究する大学院生、研究者、学芸員、司書等のためのコースとなっており、研修中は論文作成やインタビューを行うための日本語を勉強しながら、各々の研究テーマに沿って自主的に研究活動を行います。
 今年度の2ヶ月コースには、「異文化間の身体:現代東アジア演劇のパフォーマンスと認知」というテーマで研究を行っているオウ・イチさん(WANG, Wei Chih、ペンシルベニア州立大学所属)が参加していました。台湾から来たオウさんは、現在、アメリカの大学院に留学していますが、研修中は主に「1960年代の日本演劇」を研究していました。
 今回は、オウさんに、文楽劇場訪問を通じて日本の伝統的な舞台芸術である「文楽」をどう捉えたか、エッセイを書いていただきました。海外の演劇研究者の視点からみる文楽はどのようなものだったのか、ぜひご一読ください!

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

 

ousan.jpg 文楽、歌舞伎、能は世界中でも有名な日本の三大伝統演劇であり、それぞれ特別な演出のスタイルをもっている。文楽は、音楽の三味線と、物語の太夫、演出担当の人形と人形遣い、三つの部分で構成された複雑な、テンションの高いパフォーマンスである。それゆえ、文楽はずっと世界劇壇にインスピレーションを与え続けてきている。例えば、フランスの著名な演出家、アリアーヌ・ムヌーシュキンは、文楽に影響されて“堤防の上の鼓手”という有名な作品の中て、役者を使って、人形を模倣する。
 今回の関西国際センターの研修のおかげで、現役の人形遣いの講義を受けて、自ら人形に実際に触ってみることができた。また、その後、“女殺油地獄”の芝居を見て、さらに深く文楽の魅力を理解することができた。
 文楽の魅力は、私の視点から見れば、静かさと動き、この極端に対立する雰囲気が共在していること。例えば、客席から見える人形は人間に近い動きをしており、生命力が満ち溢れている存在として描かれる。しかし、実際の人形は重くて、精密なからくりが沢山付いている、冷たい装置である。つまり、どうしても人形自体を“本当に生きている”と感じることはできない。だけと、人形の重さと複雑さに抵抗するように、舞台上の人形遣いは手を通じて、人形に人間の様子、エネルギーを与えるのだ。
 一言も発さない人形遣いと冷たくて重い人形、二つが一つになって、一緒に人間のカラフルな生命を軽やかに演じる。多分、その不思議な組み合わせは、西洋の現代演劇の演出家だけではなく、いまでも現代の観客が惹かれている理由なのではないだろうか。少なくとも、アジア現代演劇の研究者の私は、そう思う。

 

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
 今回、エッセイを寄稿してくれたオウさん。今後、ぜひアジア演劇研究の第一人者になってくれることを願っています!

 

 改めまして、日本伝統芸術「文楽」の魅力を肌で感じる機会を研修生に与えてくださいました、国立文楽劇場の皆様、また、ご出演でお忙しい中、お時間を作ってくださいました吉田和生様に厚く御礼申し上げます。これからも当センターでは、研修生に伝統芸術を含め、日本の様々な文化の魅力を伝えていくべく、努力してまいりたいと存じます。
 重ねましてご協力を賜りました皆様、誠にありがとうございました。

bun8.JPG

【特別ご協力】
国立文楽劇場:http://www.ntj.jac.go.jp/bunraku.html


ページの先頭へ