外交官・公務員日本語研修
専門日本語研修(外交官・公務員).jpg)
時期: 2010年10月-2011年6月
場所: 大阪(日本)目的: 日本語の学習、そして、世界中から来た仲間と共に楽しい時を過ごす。
参加者: 2010年度外交官・公務員研修生―世界五大陸からやって来た、31名の外交官と7名の公務員
【アフリカ(5名)、南米(2名)、アジア・大洋州(25名)、欧州(6名)】
日本語っていったいどんな言葉ですか?
もしあなたが、預言者からの贈り物(=並外れた頭脳)にも使徒からの贈り物(=類まれな言語習得の才能)にも恵まれていないならば、日本語は、あなたが今までに学んだことのある他の言語と同じように、とにかくすべては勉強次第の言語だと言えます。「日本語ほどマスターしにくい言語は他にない」と信じるアメリカ国務省だけは例外ですが(そしてそれは言うまでもなく、英語母語話者にとってです)。
そして、日本語ほど多くの些細さを持つ言語は他にないでしょう、特に語彙の面では。でも日本語には便利な部分もあって、実はそれほど早く話さなくてよいのです。日本人ですらそんなに早くは話しません。というのも、日本人は、率直な表現で相手の気分を害することのないよう、話をしながら考えているのです。特に外交上のあいまいな言い回しをよく知る人間にとっては、どこか懐かしさも覚えることでしょう。例を挙げると、彼らは話をやめてほしいときでも、直接「黙れ」とは言わずに、むしろ「うるさい」と言います。「うるさい」も、いずれにせよ意味の強い言葉です。
漢字とはどういうものですか?
通常の日本語の文章には、4種類の文字体系が出てきます。アルファベット、ひらがな、カタカナ、そして漢字です。私たち学習者は、たいてい、そして当然ながら、漢字に対して恐怖心を抱きます。でも少しの間、恐怖心については忘れていられそうです。なぜなら、“かな”のほうで苦労することになりますから。ひらがな、カタカナは合わせると90文字にもなり、それはまさに「イロハ」であり、覚えるのにも時間がかかります。

もし時間があるなら、日本に来る前に“かな”の勉強をしましょう。かな、特にカタカナをあなどってはいけません。毎日のように使うことになりますから。 1ヶ月たつと、漢字の学習が始まります。 漢字のクラスで習った漢字は、文法など他の授業でも使ったほうがいいです。
研修が終わる頃には、日本の小学2年生と同じ300余りの 漢字を学ぶことになりますが、これはかなりの数です。こうした積み重ねは、これから何かを築いてゆく上で、完璧な土台となるでしょう。そして、もちろん、自分の国へ帰った後も、また、どこの国に赴任しても、日本語の勉強は続けなければなりません。
研修の終わりには、実際に日本語を話せるようになりますか?
そうですね、ちょっと信じがたいかもしれませんが、「なり」ます。 日本語は実際のところ、そんなに難しいわけではなく、言語の上では完全な論理を持ち、ほとんど例外のない言語なのです。日本人はいつも助けてくれますし親切ですが、とくに日本語で話そうと努力している人に対してはなおさらです。
時に、あまりに親切すぎて、その言葉自体、日本語として入っている他の国の言葉だったことに、ずっと後で気づかされる場合もありますが。文全体の意味がわからなくても(たぶんそうなるでしょうが)、エッセンスをつかみとろうとしてみてください。何について話しているのかさえわかれば十分な時もありますから。
次に書くアドバイスは、偉そうに聞こえるかもしれませんが、役に立つと思います:
たずねる:頭に浮かんだことを(もちろん、日本語に関することを、授業中に)先生にたずねましょう。人に道を聞きましょう、たとえ行き方を知っていたとしても。それは会話を始めるすばらしい方法でもあるのです。答えがわからなくてもあわてないで。もう一度話してくれるように頼みましょう。きっとわかりやすく話してくれます。
出かける:日本は美しい国です。食べ物もおいしいし、人々もおもしろいです。外に出かけて、何でも見て、食べて、できるかぎり誰かに話しかけましょう。

慣れ親しむ:いろんな場所で目に入ってくる漢字を意識して、覚えていきましょう。例えば、習った漢字をいつも指で手のひらに書いてみましょう。奇妙に思えるかもしれませんが、日本人もよくそうしています。特に人に説明する時などには。
読む:日本について書いているものは何でも、どんな言語のものでも読んでみましょう。知れば知るほど大好きになります。センターにはすばらしい図書館がありますから、これを大いに活用しましょう。司書の方たちと話してみてください。彼女らはエキスパートで、なおかつ楽しい人たちです。あなたが学んでいることを日々フォローしてくれますし、司書の方たちと話すことで会話力も身につきます。
聞く:部屋にいる時は、ラジオやテレビをつけたままにしておきましょう。電車を待っている時や乗車中、その他いろんな場所でのアナウンスに耳を傾けましょう。
まねる:日本人のような話し方をまねてみましょう。イントネーション、感嘆の表現、強調のしかたに注意してみてください。日本人がよく使うさまざまな表現を使ってみましょう。「あのう」、「えーと」や、特に 「ちょっと」など、それ自体に特に意味はなくても、難しい状況から抜け出すために役立つことばというのがあります。
友人を作る:センターが、ホストファミリーや会話のパートナーを紹介してくれます。たくさん会ってみましょう。日本語をマスターしたり、手作りの寿司を食べたり、“それ自体が文明である日本文化”についての雑学的知識を得たりするための絶好のチャンスとなるでしょう。
では、8ヶ月間、日本語の勉強だけですか?
もちろん、言語は、その社会を理解する上で最も大切なツールですが、そのプロセスは、その国の伝統や習慣の中でのあなた自身の経験に基づいたものであるべきです。「日出づる国」である日本は、過去が未来と向き合う国です。
日本の文化は何世紀もの時をさかのぼりますが、その国は今や、非常に現代的な顔を持ちます。そしてこの8ヶ月間の研修は、比較的短い期間ではありますが、日本の社会、日本の文化になじむためのユニークな機会を提供してくれます。
この活動は、2つの側面に分けることができます。1つは、外交官・公務員研修の枠組みの中で企画される様々な情報提供や文化活動、もうひとつは、あなた自身の文化的体験です。
コースの枠組みの中での文化活動
日本文化についてほとんどイメージできない人も心配しないでください。毎週金曜日に、文化講義が行われます。おじぎをはじめ、食文化、気候、また日本社会でとても重要な役割を果たす非言語コミュニケーションや、経済、政治、人権に関するものまで、実にバラエティに富んだテーマの講義を受けることができます。これらの講義では、この国で、しっかりと礼儀正しく振る舞うために必要な知識を提供してくれます。礼儀は日本社会の基盤のひとつですから。
講義はおもしろいです、でも実際は・・・・・・
日本滞在中の各段階で、文化講義で学んだ内容を実践する場面に直面することになります。でも、もちろん、そうした実践以外にも、センターが企画してくれる文化体験もありますから、その機会を是非とも活用す
べきです。着物体験、書道、合気道、生け花、和太鼓などがあり、これらは研修中に体験できるものの一部にすぎません。
これらの文化芸術は、そのひとつひとつが深い哲学を持ち、熱心に学んだ者だけがその道に到達できるものなのです。日本では、あらゆるものごとに多くの努力と忍耐が必要だということは、心しておきましょう。
外国人にとって、日本社会は溶け込むのが一番難しい社会だと言われています。でももしそうだとしても、日本人は自分たちの文化を外国人に伝えるためには努力を惜しまないと考えてよいでしょう。センターで開催されるお祭りや、美術館、劇場などへ行ってみると、よくわかりますよ。
日々の文化交流
センターの活動の他にも、すばらしい日本社会を知るチャンスはたくさんあります。8ヶ月の間に、さまざまな祭り、行事などを見て楽しむことができます。さらに、あなたが日本にいる間には、日本人にとってとても大切な二つの時期、つまり紅葉と花見の季節がやって来ます。たくさんのチャンスに恵まれるでしょうから、その機会を逃さないように。
研修中さまざまな文化活動を学びたいという誘惑に駆られることと思いますが、あれもこれもと目移りしてはいけません。そして、もしあなたにとって、この研修の目的のひとつが、日本文化を研究することでもあるなら、部分的にでもこの社会を真に理解するのに一番いい方法は、あなた自身の性格により近い「道(どう)」を選んで、それを日本社会を研究するための拠り所とすることです。
研修で企画される文化活動も日々の文化的な体験も、どちらも、常に魅力的な、でもまだ知らない日本社会への扉を開いてくれます。
日本での生活はどうですか?
1868年の明治維新以降、日本は、外国人がそれまで知っていたものとは全く異なる、完全に新しい文明を経験できるように新しい道を開きました。それ以来外国人は、このすばらしい国とすてきな人々について耳にしたことが本当なのかどうか確かめるという、その頃と変わらない理由のために、途切れることなく日本へやって来ます。ですから、あなたもぜひ!
というのも、日本には「虎穴に入らずんば虎児を得ず」ということわざがあります(文字通りの意味は、“虎の住む穴に入ってみなければ、虎の子を捕まえることはできない”)が、つまりは、当たって砕けよ、ということなのです。ですから、この文章を読んでいるあなたは、日本へ来るチャンスがあるということです。迷いは禁物、来て損はありません!ただし、日本へ来る前に、日本での生活について少し知っておいてほしいことがありますので、ここにご紹介します。
"日本人:それは、超ファッショナブルな若者たち、仕事熱心な‘サラリーマン’、かわいらしい子供たち、そして、アクティブなお年寄りたちの集合体"
日本の若者は、その親世代、特にその祖父母世代とは何だか違っていることに気づくかもしれません。流行のヘアスタイル(特に男の子たち)にスリムジーンズ、ミニスカートに長い爪、ビビッドな服に身を包んだ若者たちは、超ファッショナブルです。彼らは人間というよりむしろマンガのキャラクターみたいです。それとは逆に、日本の中高年層は服装やマナーに関してとても保守的です。
しかし、日本人だって、人生で大切なものは仕事だけじゃないということを知っています。自由な時間には、レストランで食事を楽しんだり、ビーチでバーベキューをしたり、買い物しまくったり、日本中、そして世界中を旅したり?つまり、楽しんでいます!だって彼らはロボットなんかではなくて、あなたや私と同じ人間なのですから。
日本人は英語を話せますか?
残念ながら、話せる人は多くはありません。初めのうちは、英語のメニューがないレストラン(こういう店はたくさんあります)で注文したり、駅や町の中で道を探したりするのに苦労するかもしれません。でも心配はいりません。日本人は外国語をうまく使えない分、驚くべきホスピタリティーでカバーしてくれますし、どんな時も喜んで助けてくれます。あなたがある場所への行き方を探して困っていることに気づいた日本人が、近づいてきて「お困りですか?」と声をかけたとしても、驚くことはありません。信じがたいでしょうが、彼らは何とかしてあなたを助けようとしてくれます(つたない英語やジェスチャーを駆使して説明してくれたり、でなければ、あなたが行きたい所まで連れて行ってくれる場合さえあるでしょう)。
日本政府はこのような英語問題についてよく承知しています。近年より一層注目されるようになり、小学5年から英語の授業が開始されることになりました。そのことを心に留めておいて、外国語が話せる日本人がこの先増えることに期待しましょう 。その時まで、この英語問題は、日本語を一生懸命勉強するためのモチベーションとして利用しましょう。それは研修開始から数週間を終えて以降、とても役に立ちますし、自信にもつながります!
日本の食べ物 -寿司からピザまで、その他にも
日本料理は世界で一番おいしいということを否定できる人はどこにもいないでしょう。日本人は食べ物が好きで、食べることを楽しみますが、そんなにたくさんは食べません。ご存じのように、日本料理は主に海の幸を基本としており、おいしくてその上とてもヘルシーなのです。西洋の影響を受けて日本人が牛肉や豚肉、その他の食肉を食べるようになったのは、およそ120年前のことなのです。
今日の日本では、どんな人の好みにも合う料理を見つけられます!とびきりおいしい寿司、刺身、天ぷら、お好み焼き(大阪のお好み焼きをぜひご賞味あれ!)、びっくりするほどおいしいパンや、また、ヨーロッパ、アジア、中東、そしてアフリカ料理まで、実にさまざまな料理があります。自分のおなかの求める声を聞き、本能に従うだけで、あとは日本のレストランがあなたの望みに全て合わせてくれますよ。でもせっかく日本にいるのですから、ヘルシーで低カロリーな日本食を基礎とした食事をとりましょう。あなたの体もきっと喜ぶことでしょう。
もうひとつ、日本の牛乳や乳製品もぜひ試してみてください。とにかくとってもおいしいですよ!(この文章を書いている私と同じく)ビール好きなら、日本のビールの種類の豊富さと質の高さにはびっくりしますよ。さあ、みなさん、乾杯しましょう!
公共交通はどうですか?
一言で言って、完璧です!これほどの快適さ、簡潔さ、効率性、そして信頼性は、あなたのこれまでの人生で見たことも経験したこともないと断言できます。実際使ってみれば、日本の交通機関のすばらしさに、感動すら覚えるでしょう。もちろん、こうした利便性の分、値段はかなり高くなります。でも、前もってすべて計画するなら、電車の割引切符を買って、理にかなった行き先を選べば、何も不可能なことはありません。あなたは今、日本のどこかで、平均時速250kmの新幹線に乗車しています。そのかたわらにはWI/FI接続のノートパソコン、そしていれたてのコーヒーを飲みながら、窓の外には富士山の眺め。そんな時あなたは、これは現実のできごとなのか、それとも夢を見ているのか、わからなくなるかもしれません。それほどまでに、日本の交通機関はすばらしく快適なのです!
シンプルな結論
確かに、日本はあなたの国とはかなり違います。ごはんは箸で食べますし、車は左側通行、そしてドアはあなたが国で慣れているのとは反対に開きます。そして、(ハイテクなものを除けば)まだ昔ながらのトイレを使っています。そしてそう、英語もそれほど話せませんし、果物の値段はとても高いですし、天気も予測不能です。これらはすべて事実です。
でも、このすばらしい国で8ヵ月間過ごしてみれば、私たち皆が得た結論と同じところにたどり着くでしょう―日本の魅力にとりつかれ、またこの国に何度だって訪れたくなる!全然違うのに、やっぱりどこか似ているような、親しみのある国。前にも来たことがあるような、そんな懐かしさが漂う国、日本へと。
ネマニャ(セルビア)、アンナ(アルメニア)、エヴレン(トルコ)、ヤーセル(アフガニスタン)(翻訳:小林有希)
