研修参加者レポート

文化・学術専門家日本語研修(6か月)


平成27年度 文化・学術専門家日本語研修(6か月コース)
研修期間:2015年10月7日-2016年4月5日

日本語学習、社会生活、旅行

                                 小池・エバン・照男(カナダ/米国)

 エバン.jpg 探究心旺盛で、冒険心がある日本語の学習者向けの文化・学術専門家日本語研修は、積極的に学習の主導権を握る人を教えます。時々チャレンジングできつかったですが、関西センターでのこの6か月の勉強は私に人類学の研究を追求するために必要な言語能力を与えてくれました。
 このプログラムに参加する前に、北米の三つの大学で日本語コースを取りました。しかし、センターで日本語環境に浸っての6か月の学習は、その前の学習すべてを遥かに超えて日本語力を向上させました。授業は日本語の基本的な構成要素--文法、語彙、漢字--をカバーするだけでなく、正式なメールを書く、インタビューする、学術的専門的な文献を読む、などのようなスキルも練習できます。参加者はセンターの図書館が所蔵する様々な資料を、自由時間にも、先生が個人的な研究ニーズに合わせてカスタマイズする個別授業のときも、利用できます。参加者はセンターの親切で有能な司書の方々のお陰で、図書館間相互利用サービスで文献を取り寄せることができます。
 教室での授業に加えて、社会生活はプログラム参加者の日本語能力を向上させる上で重要な役割を果たしています。例えば、日常会話、食事、および見学や訪問目的の旅行は私たちに教室よりも自然な環境で新たに学習した文法や語彙を実践する多くの機会を与えてくれました。より流暢に話せる参加者は日本語の経験がまだ少ない参加者に教科書にはない役立つ日本語を教えてくれますし、日本語で会話し続ける中で、みんなが話すことにも、考えや意思を伝えることにも自信を築きます。

 旅は、参加者に現実の場面で自分の日本語を練習する機会を与えます。冬休み中や宿題と研究が普通より少ない時は、参加者は自由に日本を旅行して、場所やイベントを自分自身で体験できます。大阪や京都や奈良は近くて、簡単に行けます。私のお気に入りの経験は、秋の夜の、ライトアップされた永観堂の紅葉と、奈良の若草山での、神主とお坊さんによる山焼き行事でした。また、国際交流基金は、参加者各自の専門分野や研究分野に関する活動のために支援してくれるので、私は講義に出席したり、大阪と東京で教授に会ったりするためにこの支援制度を利用しました。

 最後に、関西センターでは、参加者が色々な国から来た様々な職業の人達と出合えて、仲良くなれます。実際に、2015-16のプログラムの間に、プログラムが終了した後までも続けたい友情が育ちました。以前の修了生レポートに、ある先輩は「毎日センターの中で...家族のような生活をします」と書いています。この比喩は私たちもよく使いました。勉強のとき、自由な時間、お互いを頼ったり、交際を楽しんだりしてきた私たちの親密さを表すのにぴったりだからです。

 あれやこれやで、関西センターでの時間は私にとって忘れられない経験になりました。

研究のための全面的なサポート

ウー・ヅー・イン(台湾)

 私の博士課程の研究のため、日本語能力を得ることは緊急でしたが、必要な日本語能力は読解力だけではありません。芸術家、職人、及び研究者にインタビューするためのスピーキングとリスニングの能力も必要です。関西センターに来る前は、日本語で会話する機会がほとんどありませんし、発音を直してくれる人もいませんでした。インタビュー依頼のメールの作成も、ましてや、手紙、レポート、論文などをどう書いたらいいかも全くわかりませんでした。

 この6ヶ月の間、日本語を全面的に強化しました。そして、勉強の材料は自分の研究に直接関連する文章、会話場面、発表などでした。つまり、言語能力のレベルアップと同時に自分の研究も進歩して行ったのです。

イン.jpg また、多くの種類の研究技術を学びました。例えば、日本のデータベースや図書館を利用する方法や専門記事からのキーワードを探す方法などで、そのため、使う頻度が高い専門的な語彙を系統的に、効率的に増やすことができます。その上、チューターの先生による個別授業があって、読みたい専門記事を読むことができます。チューターの先生の個別授業はとても役立ちました。先生達は豊富な教育経験があるだけでなく、本当に熱心でした。最後に、忘れてはならないのは、図書館の親切な司書先生達です。皆の研究テーマをよく覚えていて、いつもそれぞれの関連書籍を紹介してくれました。私は図書館にたくさん助けてもらいました。
 また、日本人の友達を作るために、会話パートナーのアレンジが有りました。会話パートナー達は外国人との交流の経験が豊かで、日本文化の多様性を上手に紹介してくれました。私たちは生涯の友達になっています。

 関西センターの生活はシンプルですが充実しています。しなければならないのは、一生懸命に勉強すること、研究のための旅行、私たち自身の研究ネットワークを構築することだけです。文化・学術専門家6ヵ月コースの研修プログラムの設計は素晴らしいです。私の日本語レベルアップの理由はこのような関西センターからのサポートでした。

深く感謝しております。

発表会の意義

フィディ・ラムジラー・ファミルシャー(インドネシア)

 このプログラムを通して、日本の文化を学ぶとともに他国の文化も知ります。別の国の視点によって日本文化を見ることもできます。それで、自分の考え方や見解を拡大していくことができました。
 参加者は日本の文化・歴史・経済など様々な研究テーマについて研究しました。たまにみんなの研究テーマは全然分からなかったので、新しい情報を交換することになりました。
 発表会は12月と3月に行いました。6ヶ月の間に自分の研究がどこまで進んだか測定できます。そのためには、自分の研究活動に集中しなければなりません。
 日本語で自分の研究を説明する発表会は簡単なことではないと思いました。しかし、先生の細やかな指導のおかげで、発表は成功しました。外国人や日本人の前で日本語で発表して、自分の研究についてわかってもらうこと、私にとってそれは挑戦だと思います。日本語の会話・聴解を練習して、日本語で自分の研究を説明できるようになります。

フィディ.jpg 発表会の内容は自分の研究に関する進捗状況や専門活動についてです。自分の研究の語彙ですから、楽な気持ちでできます。時々、他の人が自分の語彙が分からない時、簡単な日本語で説明するのは面白いです。
  発表会の形式は学会みたいですから、日本の学会に慣れることができます。また本当の学会に参加したければ、それは絶対にいい経験になります。
 口頭発表以外にポスター発表もありました。ポスター発表はとても面白かったと思います。聞き手は直に見て、発表者から専門的な詳しい説明も受けられました。

次の研修生のためのアドバイス:
 このプログラムを参加する前に自分の研究について何を書きたいか、何を話したいか、ちゃんと準備しなければなりません。そうすれば、日本に到着した後、自分の計画が上手く行きます。

民間交流の開始、「会話パートナー」

キム・ソンヨン(韓国)

 2015年度文化・学術専門家日本語研修の研修課程の中には色々文化体験がありますが、私にとって何よりも印象深かったのは、会話パートナーとの交流活動でした。
 この「会話パートナー」は1:1、または2:1のパートナーが6ヵ月間日本語を通じて意思疎通をしてお互いの文化を交流し、連帯感を形成するものです。他の体験プログラムと少し違って、本プログラムは参加者の積極的な参加を引き出し、"コミュニケーション"を通じて共感できる力を養います。私はこの「会話パートナー」を通じてやや短い期間でしたが、6ヵ月間で日本文化の基本と全般的な流れが理解できました。テキストだけで習った、単語一つで学んだ日本文化を毎回、機会があるたびに直接目で見て味わいながら"日本人の情緒"を共感できるようになりました。私が持った日本の歴史?文化に対する好奇心とパートナーの積極的な文化伝達の意志が働いた結果だと思います。

 言葉とは、一種の運搬機械なのでどれほど高い水準の運搬機械を備えているのかも重要ですが、その機械を通じて、何を運搬しようとしているのか、つまりコンテンツをどれくらい備えているかがはるかに決定的な違いを作ると思います。他国の言語で歴史・文化・社会全般に関して疎通するというのは、思ったほど簡単ではありませんでした。しかし、私のパートナー、正田さんの積極的な文化伝達の意志、つまりコンテンツの伝達の意志のおかげで私の不足な日本語能力がある程度良くなるきっかけとなったと思います。

 近くて遠い国と言う韓国と日本の外交関係がもう一歩前進するためには、このような民間レベルでの交流が何よりも重要だと思います。そのような意味で歴史専攻者の私にとって今回の「会話パートナー」は、韓国と日本が今後どのような方向に進まなければならないかをこの目で確認することができる貴重な経験でした。
 ありがとうございました。

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日本語という共通の窓口

ユン・インロ(韓国)

 6ヵ月間の『文化・学術日本語研修』のプログラムは色とりどりの国籍・性別・年齢・専門の人々が集まり、共に過ごす中で共通の感覚を身につけて交流する場でした。 生活と人間関係における悩み・寂しさ・喜び・幸せ、そして研究と専門における企画・調査・執筆・発表などで、私たちはお互いを見守っていた仲間でした。 このすべては「日本語という共通の媒介」を通じて可能だと思います。

 私にとって共通の媒介としての日本語、紐としての日本語は、日本という国の近代、思想の形で表現されている日本の歴史的瞬間を、現在の韓国の社会・生命・生活と関連付け、まとめてみることができるようにする重要な媒介体でした。 日本語という紐をつかめるようにして、そのような紐を使用できるようにしてくださった方々がセンターの諸先生方です。 人間的な紐帯と情動の交流の中で先生は詳細に説明し、刺激し、厳格に対し、要求し、鼓舞させ、挑戦させました。 長い間、先生に大変お世話になりました。 心から感謝申し上げます。

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 研修のプログラムが終わりつつある今、私達はセンターでの生活を整理し、帰国を準備しています。 誰にとっても出会いと別れは恒常的で日常的なものですが、私にとっては、今回の出会いと別れは特別なことです。 日本語という紐でお互いに繋がっていて、一緒に日本という研究対象へ向かって歩いていくために努力したからです。 このように、日本への入口と窓口を共有できて幸いです。 健康をお祈りします。 真の「良い縁」でした。

本研修の実施にあたっては、国立国会図書館関西館、国際日本文化研究センター、和歌山大学、堺市、貝塚市立二色小学校をはじめ、様々な機関から多大なるご協力を賜りました。誠にありがとうございました。



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