日本語教育シンポジウム「ひらく・つなぐ・つくる 日本語教育の現場」国際交流基金関西国際センター

国際交流基金関西国際センター

報告レポート

分科会3「インターネットでつくる」

概要

分科会3には、23名が参加しました。参加者の中には、すでにブログを書いて発信している、学習者向けの素材をアップロードして公開している、という人もいましたが、ほとんどは、メールやウェブ閲覧程度の利用とのことでした。各報告者の報告を、時にメモを取りながら、熱心に聞いていたのが印象的でした。

関西国際センターとも交流のある地元で活動されている方、他地域で同様の活動をされている方、行政で国際交流の担当をされている方など、非常に幅広い方々、総勢34名にご参加いただき、普段はお互いの活動について話す機会がない人同士で、さまざまな意見交換が行われました。

最後のデモンストレーション、グループでの質疑応答の時間には、「すしテストのシラバスはどうなっているのか」などユーザー目線の質問から、「無料サイトを使う場合、セキュリティーはどうなっているのか」「コース終了後のコミュニティはどうなっているのか」などサイト運営に関わる質問まで、幅広いやりとりが行われていました。また、「ワードのウェブ保存の仕方は?」、「ブログへはどうやって投稿できるのか」など、具体的な質問も飛び交い、普段の疑問を解消する場ともなったようです。

参加者からは、「新しい情報を得ることができた」「ITはあまり得意ではないが、私でも何かつくることができるかもしれない、という気になった。」「自分でもやってみよう、という刺激になった」などの感想が聞かれました。

趣旨説明のスライド(PDF)配布資料(PDF)

事例報告

「インターネット日本語しけん『すしテスト』の開発」廣利正代(関西国際センター日本語教育専門員)

スライド(PDF)

「日本語コースのためのIT活用」矢澤理子(関西国際センター日本語教育専門員)・角南北斗(ウェブデザイナー)

スライド(PDF)配布資料(PDF)

「ブログを使った情報発信」村上吉文(日本語国際センター客員講師)

スライドおよび配布資料は村上さんのブログ「むらログ」

「素人でもこんなことをしています」三浦多佳史(関西国際センター日本語教育専門員)

配布資料(PDF)

全体の質疑応答

Q1.自分でもやってみたいが、本を読んでもIT関係の言葉は、わからないことが多い。どうしたらわかるようになるか、いい方法があったら教えてほしい。

A1.自身も、数年ぶりに海外から戻ったとき、ITに関してかなり状況が変わっていると感じた経験がある。その時、「ウェブ進化論」(梅田望夫)に出会った。この本はおすすめ。その他、ハウツーものとして「デジタル・ワークスタイル」(徳力基彦)。体系だてた説明をしていて、初心者におすすめ。(村上)
自身は、4年前からブログを始めているが、人のブログを読んで、そこから知識を得るのが自分には合っていると感じている。毎週読んでみたいと思うようなブログがあったらそれを読み、その中で面白そうな何かが紹介されていたら、それをやってみる、など。勉強だと思わず、趣味に関するブログから始めるたりするのがいい。「はてな」ブックマークの人気エントリーから自分に合うのを見つけるとか、流行っている言葉、好きなキーワードで検索するなど、方法はいろいろある。(角南)
Googleのブログ検索は便利。ブログだけが検索結果に表示される。(村上)

Q2.ブログ、ホームページなど、世界へ発信することは、自分のプライベートをさらすことにならないか。

A2.はじめは、プライベートなことに関するブログを書いていたが、今は書かなくなった。個人情報は出していない。(村上)
実名を出している。ポイントは、実名では皆の前で言えないようなことは書かない、ネガティブなことは書かない、ということ。ネガティブなことを書くと、すぐに批判的なコメントがつく。(角南)

ディスカッション

Q:日本語教師にとってITとは何だろうか。本当に身近なものになったのか、便利だからと言って無理に使う必要があるのか、どんな使い方ができるのか、などの視点で、報告者の皆さんの意見を聞きたい。

廣利:自分自身、ITリテラシーは高くない。個人的には、無理してやる必要はないと考えている。ITは便利だから使う、ではなくて、それを使うことによって抱えている問題が解決するなら使ったらいいと思う。インターネットを使うからこそできる、ということであれば、使うのがいい。また、ネット上の情報は膨大にあるので、全てを知ろう、網羅しようとは思わないほうがいいのではないか。

矢澤:自分自身、ITの利用に興味があるほうだとは言えない。ブログが好きな人、苦手な人など、向き不向きもあると思う。ただ、日本語教師という仕事をしていると、「使いたくなってしまう」状況はある。その中で、自分ができるものをやればいい、というスタンスでやっている。パワーポイントの活用や日本語学習に役立つウェブサイト情報収集など、これは使える、と確信できれば、私のようにITリテラシーも関心も低い者が「無理」してでも使いたくなるし、使えるようになる。ITツールやリソースにはそれだけの魅力がある。

角南:よく「コンピュータが本当に好きなんですね」など言われるが、単純に大好きだからやっているということではない。インターネットやコンピュータを通じて、人とのコミュニケーションができる、今会えない人とつながっていけるのがとてもいい。そういう意味で、IT系のものは食わず嫌いにならず、まずやってみて、それで自分に合わないと思ったらやめればいいと思う。ITを通じて人と接する機会が広がっているのだから、気楽に選んでやってみるのがいい。

村上:ITは道具。あくまでも主人は人間で、それをどれだけ使い倒すことができるかが肝心。自身、ITを専門に勉強したわけではない。ある程度の時間と、本代は投資しているが、それを利用することで浮いた時間がある。例えば、エクセルの機能を使うことで、ある教材が簡単に作れた。だから、十分にもとはとっている。私はインターネットの未来をどちらかと言うと楽観的に捉えている。みんなが共有したら、世界はもっと良くなるのでは。

三浦:みんなの意見をまとめると、必要があって、できる範囲なら、やればいい。そのためにはある程度の情報を得る必要があるが、ITを使うことによってできることがある、ということ。

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