日本語教育シンポジウム「ひらく・つなぐ・つくる 日本語教育の現場」国際交流基金関西国際センター

国際交流基金関西国際センター

分科会2:専門領域とつなぐ

概要

関西国際センターでは、外交官、司書、研究者など特定の目的を持つ職業人を対象とした専門日本語教育にとりくんできました。この分科会では、専門日本語教育のさまざまな課題と、その解決方法について話し合いたいと思います。

まず、ビジネスマン、介護者、司書への日本語教育に携わる方々に、教材制作やコースデザイン、評価作成の経験について語っていただきます。後半は、フロアをまじえて、専門領域とどのように連携するか、日本語教師の役割や必要な能力とは何か、初級からの専門日本語教育のコツ、などについて話し合います。

司会

品川 直美(関西国際センター日本語教育専門員)

流れ

1. 事例報告

「教材作成のプロセスを語る」~介護者のための日本語~
武田(栃木)亜寿香(ミンダナオ国際大学 日本語教育アドバイザー)
野村愛(アセンド教育財団日本語教育プログラムコーディネーター)
キーワード:コミュニケーションのための会話教材、現場への取材、介護スタッフとの協働、初級後半

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「介護の日本語」は日本の介護現場におけるフィリピン人スタッフと日本人施設利用者とのコミュニケーションに重点を置き、介護現場における日本語会話能力を身につけることを目的とした教材です。
制作にあたっては、介護施設に取材をし、場面ごとにどんな声かけをするのか、フィリピン人が現場に入った際にどんなことを知っておいてほしいかなどについて聞きました。しかし現場を知らない人間にとっては、現場で本当に必要な日本語は何かを聞き出すのはむずかしい作業でした。また集めた資料を教材化する際には、どのような教材にすれば即戦力になるのか、ここでも本当に悩み、いろいろな方にアドバイスを受けました。自身もホームヘルパー2級の資格をとって、どんな理念でこの仕事をするのかというところから始めました。
また、ターゲットを絞るのにも苦労しました。介護における声かけは非常に大切で、時に高度な日本語力を要するものですが、実際に日本の介護現場に入るであろうフィリピン人の多くは日本語初級者あるいは未習者です。それを考えると、日本語が未習の人にもわかりやすい教材を作る必要があります。この点は今回の教材では成功したとはいえないので、今後新たに初級向けの教材を制作しなければと思っています。
分科会では、初級学習者のための教材制作について、また専門家と日本語教師の連携について話し合いたいと思っています。

「コース・デザインのプロセスを語る」~司書のための日本語~
亀井 元子(関西国際センター日本語教育専門員)
浜口 美由紀(関西国際センター専任司書)
キーワード:司書との協働、日本語教師の学び、図書館見学・実習先への橋渡し

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司書日本語研修は、海外の図書館で日本語の資料を扱う司書のためのコースです。このコースの特徴は、業務に必要な日本語能力を高めるために、日本の図書館の実習と見学を重視してコースをデザインしている点です。このようなコースになるまでには、紆余曲折がありました。当初は読解力重視のコースでしたが、海外の司書をとりまく環境の変化(日本人利用者の増加、国境を越えた図書館の相互利用など)を反映して、会話能力や図書館とのネットワーク作りを重視するようになりました。しかし、海外の司書にとって、実習や見学など実社会に出て行くためには、日本語面も司書として必要な知識面でも、かなり周到な準備が必要なことがわかりました。そこで、さらにコースデザインを修正し、見学や実習の場面に絞り込んだ場面会話や聴解練習を取り入れ、また日本の図書館の基礎知識を身につけるため、司書の協力を得て「図書館事情」という科目を充実させてきました。
こうして司書日本語研修のコースデザインの変遷を見てみると、研修が実践的な内容になればなるほど、日本語教師が専門的な領域に踏み込まざるを得ないことがわかります。発表では、科目の設定や教材作成、また見学や実習先との橋渡しに、どのような専門知識が必要であり、そこで担当者が図書館司書と協力しつつどのように対応してきたかを紹介し、専門日本語教育における日本語教師の役割について話し合いたいと思います。

「評価作成のプロセスを語る」~ビジネスマンのための日本語~
品田 潤子((社)国際日本語普及協会 所属日本語教師)
キーワード:実用的な能力記述、評価の共有、リソースは学習者

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日本で仕事をする外国人が急増する今、「どのような日本語力があれば、どのような仕事ができるのか」この関係を明らかにすることが求められています。そこでAJALTでは3年前から「ビジネス日本語の評価基準」の作成にとりかかりました。仕事の現場で役立つ記述をするには、現実に即した内容を企業の担当者に通じることばで記述する必要があります。これまでの作業で特に苦労したのは、以下の2点です。
ビジネスで非常に重要な「感じのよさ」つまり、実用的な丁寧さとは何か。日本語能力以外の部分でこなせてしまうこともあります。そこをどう区別するか。
言語教育の評価の抽象的な記述と、企業担当者の求める具体的な能力をどのように翻訳して双方にわかるよう表現するか。「流暢さ」とは?「自然さ」とは?
分科会では、担当者が上記の点についてどのような検討を行ってきたかについて紹介し、専門日本語教育の評価について、また学習者やクライアントと共有できる評価の言葉について考えてみたいと思います。

2. 意見交換

  • 専門領域との連携
  • 日本語教師の役割
  • 初級からの専門日本語教育のコツ

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